若草通商店街

株式会社ライトライト「『若草』の名にふさわしいスタートアップの新芽が生まれる街に」

株式会社ライトライト「『若草』の名にふさわしいスタートアップの新芽が生まれる街に」

宮崎市若草通商店街の若草金城堂ビル2階にオフィスを構える株式会社ライトライトさん。IT企業として、事業承継マッチングプラットフォーム「relay(リレイ)」を全国に向けて展開しています。

今回は管理マネージャーを務める満園晃大(みつぞのあきひろ)さん(写真:右)と、事業部として自治体・パートナーとの窓口役を担う松田稜平(まつだりょうへい)さん(写真:左)にお話を伺いました。

ライトライトさんの「はじまり」

会社を創業した経緯から教えてください

(松田さん)
弊社の代表である齋藤は、2012年に「地域×クラウドファンディング FAAVO(ファーボ)」を東京で立ち上げ、「出身地と出身者をつなげる」というコンセプトのもと、地域×インターネットの事業に取り組んできました。宮崎にサテライトオフィスを開設するなど、地域に根ざしたサービスを全国で展開していました。

その後、2018年にFAAVOを同業の株式会社CAMPFIREに事業譲渡。齋藤自身もCAMPFIREに入社しましたが、FAAVO立ち上げ以来もっともやりがいを感じていた、地域×インターネットの世界でもう一度チャレンジしたいという想いを抱いたそうです。
そこで新しいサービスをつくろうと決意し、2020年1月にライトライトの創業に至りました。

ライトライトさんの「事業」

現在ライトライトさんでは「relay(リレイ)」というサービスを展開されていますが、詳しい内容を聞かせていただけますか

(松田さん)
弊社では事業を次の担い手に引き継ぐ「事業承継」に取り組んでいます。そのマッチングプラットフォームとして運営しているのがrelayです。どういったサービスかといいますと、後継者を探されている方、便宜上“売り手”さんと呼ばせていただいていますが、売り手さんと事業を引き継ぎたい“買い手”さんをつなぐマッチングサポートを提供しています。

具体的には、プロのライターとカメラマンの方に取材記事を執筆していただき、relayのプラットフォームで公開します。その記事を見て共感や思いを引き継ぎたいという方から問い合わせをいただき、双方のマッチングをサポートするのが私たちのサービスです。

事業承継に取り組もうと考えた背景を教えてください

株式会社ライトライト看板

(松田さん)
これまで事業承継では売上の数字だけが公開されて、事業者の名前であったり、詳細な事業内容といった情報は完全にクローズで見えない「ノンネームルール」が当たり前でした。それから、手数料の割合がかなり大きいといった点もネックでした。

例えば、地域に愛された食堂や商店街にある小さな店舗では、大きな金額の手数料が支払えなかったり、売上の規模感だけで判断されてしまいます。目に見えないストーリーや思いが隠れてしまい、買い手さんからすると「魅力的に見えない」といった課題がありました。

私たちは、小規模事業者さんを中心に、これまでクローズだった店舗の名前や事業の詳細部分をオープンにする「オープンネーム」という形で事業承継を進めています。事業規模は小さくても、魅力や価値ある事業を取りこぼさないようにすることを目指しています。

それから、これは代表である齋藤のエピソードになるのですが、あるとき地元宮崎のメディアで、後継者不足から廃業を決意される事業者の、最後の数日間を追ったドキュメント番組が流れていたそうです。尊いなと思いつつも、「なんでこの情報をもっと早く知ることができなかったのだろう?」と疑問が湧いたといいます。

そこで興味をもって調べてみると、事業承継業界には「ノンネームルール」というものが存在し、売り手さんの情報を表に出すことがタブーとされているとわかりました。一見正しいですが、仲介事業者の都合が優先されるように映ったルールだったので、「このルールチェンジができたら地域にとってよい機会になるのでは」と取り組み始めたのも、弊社が事業承継に取り組むきっかけとなっています。

事業承継の業界では「ノンネームルール」が当たり前とのお話でしたが、これには何か理由があるのでしょうか

(松田さん)
ノンネームルールが一般的な理由として、事業承継を考えている売り手さんの、取引先への影響が考慮されています。事業で取引がある企業や、資金の借り入れをしている金融機関への影響が出ないよう情報をクローズにする配慮がなされています。

一方で、弊社がサポートしている小規模事業者ですと、大きな取引先や金融機関からの多額の借り入れがあるケースはほとんどありません。ノンネームルールで考慮されている影響はほとんどないといった現状があります。こうした小規模事業者へ、オープンネームという選択肢をrelayのサービスを通じて提供したいと考えています。

たしかに、売上や限られた情報だけでは「地域に愛される」といった情緒的なものをなかなか汲み取りづらいように感じますね。こういったサービスはライトライトさん以外にも展開されているのでしょうか

(満園さん)
事業承継をサービスとして展開している企業さんは他にもあります。ただ、オープンネームを全面に打ち出してサービスを展開しているのはrelayだけだと思います。そういう意味では、弊社の「強み」と言っても差し支えない部分だと思います。

先ほど記事を公開して問い合わせをいただくとお話いただきましたが、例えばライトライトさんからアプローチする、声掛けをするといったケースもあるのでしょうか

(満園さん)
relayは社会課題的な事業でもあるので、自治体と連携して取り組む場面も多いです。例えば、自治体と連名でアンケートを実施して、売り手さんの意向や事業承継についてどう考えているかご回答をいただきます。時にはアンケートで事業承継を検討していると回答された方にこちらからアプローチして、お話を伺うケースもあります。

ただ、基本的にはrelayのサービスに興味を持っていただいた方から、お問い合わせをいただくケースが多いですね。特に買い手さんからの問い合わせは、サービス経由がほとんどです。

最近では事業承継という言葉をメディアで見聞きする機会も増えてきました。事業承継が注目されている理由はどこにあると感じていますか

(満園さん)
私はライトライトに入社する前は会計事務所に勤めていたのですが、事業承継や跡継ぎを探すといったテーマは、事業者さんとの間でよく話題に挙がりました。そこで挙がる選択肢は、やはり子どもや親族ですとか、従業員からといった話がほとんどです。特に町工場や地元の小さな企業だと、そういった流れが多いのですが、「それ以外の選択肢もある」とみんなが知り始めた段階だと個人的には感じています。それは事業者だけでなく自治体も同じで、段々とムードが高まっているなと。

私も会計事務所で働いているときにrelayのサービスを初めて知ったときは「こんな選択肢、方向性があるんだな」と印象深かったのを覚えています。

これまで生涯働いてきた方々が、「ちょっと早めに引き継ごうかな」と考える機会が生まれてきたのではと思っています。

最近では事業承継という言葉をメディアで見聞きする機会も増えてきました。事業承継が注目されている理由はどこにあると感じていますか

(満園さん)
おっしゃる通りで、「やれてしまう・働けてしまう」ので逆に潔く後任に渡すといった決断をされる方が少ないと思います。

それから事業を誰かに引き継ぐことが、とても「大それたこと」だとイメージされているのかもしれません。M&Aや事業承継は大企業がやるもので、小規模の会社はそういうことができないと。そもそも選択肢として誰かに渡す方法が、浮かんでこないのではないかと思っています。

そうしたイメージを含め、relayならオープンネームという部分でも安心感、信頼感を提供できる。小規模の事業者さんでも安心して次の方に引き継ぐ選択肢があると、もっと知っていだだければうれしいですね。

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