四季通り商店街

恋史郎コーヒー「カルチャーに刺激を与えるお店でありたい」

恋史郎コーヒーさんの「人とのつながり」

コーヒーの豆はチャイナやメキシコと様々な種類がありますが、どうやって選ばれているんですか?

これは1つの国ごとに何個か集めてもらい、サンプルで送ってもらったものをテイスティングします。

コーヒーの写真

自分たちが例えば海外のこの農園から直接買うっていうのは、無理ではないけど、かなり厳しいんですよね。

現地に行かないといけないからですか?

それもありますが、現地に行ったとしても難しいです。
買い付け料というか、最低でもこれぐらいは買ってくれないといけないという量で提示されます。
その量が200キロ、300キロとかなりあったりするんですよね。

それに市場に行ってモノを買うのって、すごく難しいと聞くじゃないですか。
なにかのご飯屋さんをやるとなった時に、市場に行って魚を仕入れる、肉を仕入れる、野菜を仕入れるという時に、相手との信頼関係が必要なんです。

何回も現地に行ってそのパイプを作って、君のところならこれぐらい卸すよ、と言ってもらえるまでが難しいんですよね。

コーヒーにあまり詳しくないというお客様も来られると思いますが、どういうアプローチをされていますか?

どういうのが美味しいですか?と聞かれることが多いですね。
ですので当店は、お客様に気になるコーヒーの試飲をしていただくことにしています。
口頭の説明だけでは難しいところもありますし、実際に味わっていただいたのを共有するのが1番納得していただけます。

ダークブレンドは、誰が飲んでも美味しいと思っていただけると思うんですよ。
深煎りが好きな人もカバーできて、浅煎りが好きな人も多少深めだけどいけるぐらいの、中間的な落としどころだと思います。

あとは、ブラックコーヒーが飲めない方や、ミルク系のコーヒーがお好きな方もいらっしゃるので、メニューのカテゴリーをお伝えしています。
どのカテゴリーから選ぶかだけでも分かれば、こちらからおすすめや提案ができますから。

コーヒーのパッケージがとてもおしゃれで個性的ですが、どなたが手掛けていらっしゃるのでしょうか?

パッケージは※修さんです。

※修さん:後藤修さん。同じ四季通り商店街に事務所を構える合同会社カネックの代表。デザイナーとして活躍されていらっしゃいます

ロゴとショップカードは、ずっとお世話になっている平谷穣さんというデザイナーさんにお願いしています。

商店街の力といえば、商店街の力ですね

いろいろとできる人が多いですよね(笑)

他では見ない個性的なパッケージですが、作成を依頼する際にはこういう感じでというオーダーはされるんですか?

僕から大まかなフレーバーやこんな色のイメージで、というのを擦り合わせます。
あとは実際に修さんに当店のコーヒーを飲んでもらって、修さんが掴んだイメージを描いてもらっています。

飲まれたイメージがパッケージに出てるということですね

そうですね。

コーヒーはすごく、色のイメージができる飲み物だと思っています。

単純に、ローストを深めていけばどんどん黒に近づいていくし、ローストという要素だけ見たら、白っぽいところからどんどん黒に近づいていくっていうので、色の数もかなり多いです。
その中にフルーツ感がどんどん入ってくるので、バリエーションがたくさんあるんですよね。
そういうのは直感的に感じてもらった方がいいかなと思っています。

ホットで出した場合も、熱い時から冷めるにつれて、いい豆であればあるほど味が変わるんです。
その味のグラデーションをデザインで表現してもらえたらなということで、こういう風に落とし込んでいますね。

コーヒーの味の色、すごく奥深いですね

コーヒーにとって色は大事です。

それと文字情報だけだと見分けることが難しいけれど、こうしたデザインだと個性が出ますよね。
前に買ったのはこの豆だと覚えてもらいやすいことと、このパッケージのコーヒーはどんな味なんだろうと興味を持ってもらうきっかけにもなりますからね。

コーヒーのパッケージ写真

恋史郎コーヒーさんの「こだわり」

恋史郎コーヒーさんはとても居心地の良いお店ですが、雰囲気作りについてのこだわりを教えて下さい

急いで店を出したので、今となっては変えたいところもいっぱいあります。

ご自分でできるところはご自分でされたんですか?

いや、やったところはお店の壁しかないです(笑)

自分でやると時間がかかっちゃうというのもありましたからね。
でもどこかは自分でやりたいと思っていたので、知り合いの工務店にお願いしたんですが、自分で何かできますか?って聞いたら、「壁塗ったら?」って言われて、壁に漆喰(しっくい)を塗りました(笑)

壁が1番雰囲気の要になってると思っていたんですが、それをご自分でされたんですね!

そうです。
あとは、なるべく木を使いたいというのもありました。

ずっといたくなる居心地の良い雰囲気ですよね

ありがとうございます。
そういえば、最近来店してくださる海外出身のお客様がいるんですが、その方に「海外のカフェにいるみたい」と言っていただけて、嬉しいなと思いました。

たしかに海外のお店と言われても違和感がない気がします。写真をたくさん撮りたくなります!

恋史郎コーヒー店内写真

Webサイトに「抽出レシピを毎日見直す」とありましたが、これについて詳しく教えて下さい

先程の酸化の話もそうですが、コーヒー豆は焙煎されてからどんどん状態が変わっていくんです。
つまり、賞味期限があるわけです。

例えば、膨らんだ豆って美味しそうに見えますよね。
ただ僕たちから見ると、豆がガスを持ちすぎている状態だと抽出がスムーズにいかない状態でもあるし、ガスがコーヒーに溶け込む可能性というのも考えるんです。

ですのでエイジング(ガスを抜くために置く期間)をどれぐらい取るのかを考える必要があります。
それが深煎りと浅煎りとでは違うんですよね。
よく膨張している深煎りは短めに、あまり膨張していない浅煎りは長めに、エイジング期間をとるようにしています。

それと試飲も、もちろんお客様にコーヒーの味をわかりやすくお伝えするためということもあるんですが、コーヒーの豆と淹れ方の調子を見るという意味もあります。

ただ試飲を淹れた段階で調整が必要な場合は、豆の挽き具合をちょっと細かめにするなどの細かい調整をします。
そういった調整が毎日必要なんです。

微調整に微調整を重ねているんですね

エスプレッソの調整はもっとシビアなんです。
挽かれる粉の荒さが、ドリップの粉の挽き具合の10倍ぐらい細かくなるので、ちょっと調整がずれるだけでも味が変わるんです。

コーヒーミルに貼ってあるのは、人の名前シールですか?

コーヒーミルはクラウドファンディングで購入させていただいたものです。
当店を支援していただいた方のユーザー名などの本名をシールにして、貼ってあるんですよ。

コーヒーミルを操作する田中さん

素敵ですね

たしか2016年だったと思うんですが、宮崎がその当時に消費額が全国ワースト1位だったんですよ。
九州は全体的に低いんですけど、今でも宮崎はワースト2位とかじゃないですかね?

えっ、そんなに低いんですね!

なかなかなんです。
もしかしたら、カフェが新しくできるのはあると思うんですけど、ローストまで自分でするコーヒー屋が新しくできるというのはあまりないかもしれませんね。

たしかにコーヒー屋さんと言うよりカフェが多い印象ですね

それでもやっぱり、カルチャーに刺激を与えるお店でありたいなとは思いますけどね。

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