四季通り商店街

Taffee 「その日のテンションがちょっとだけ上がる、『個性的だけど着れる服』を提案していきたい」

Taffee 「その日のテンションがちょっとだけ上がる、『個性的だけど着れる服』を提案していきたい」

レンガ道のおしゃれな街並みに、多彩な店舗が軒を連ねる四季通り。文化の発信地としても親しまれるこの通りで、古着屋を営むのが「Taffeeタフィー」さんです。今回はオーナーの久米孝之くめたかゆきさんに、お店のストーリーや街中への思いについてお話を伺いました。

Taffeeさんの「はじまり」

Taffeeの店内

Taffeeさんがオープンしたきっかけから教えてください。

古着屋を始める前はいろいろな活動をしていたのですが、その中でもウェイトを置いていたのがバンド活動でした。現在でも活動しているのですが、当時はメンバーと車に乗って、陸路で全国を回るなど本格的な活動をしていました。

全国の都市を回る際に楽しみにしていたのが、地元の服屋や古着屋巡りです。もともと服が大好きで、個性的なお店やおしゃれなお店を訪れるのが楽しみでした。次第に自分でも本格的に服に携わりたいと考えるようになり、自分でお店をオープンしてみたいという気持ちが膨らんでいきました。「あの店は良かったな」「この店は自分の好みだな」といった記憶や体験を膨らませていき、自分のイメージを形にして2014年2月にオープンしたのがTaffeeです。

Taffeeという名前の由来はあるのでしょうか?

Taffeeはお店をオープンする際に考えた造語です。自分の好きなアーティストが、ユニット名やアルバムタイトルで使っていた「ラフィータフィー(Ruffy Tuffy)」という言葉の、「タフィー」という語感や響きをモチーフにしました。

※ラフでタフな野郎

古着屋は無骨でいかついイメージを持たれがちですが、自分は親しみやすく女性にも気軽に訪れてもらえるお店を目指していました。「タフィー」という響きはどこか愛嬌があり、親しみやすいイメージがあったので、目指す店舗像にぴったりだなと。

それからスペルの綴りにもこだわっていて、デザインや筆記体、ロゴにしたときのバランス感を考えた結果、本来の綴りの「Tuffy」ではなく、少しシンメトリーでかわいらしい印象の「Taffee」という綴りを採用しました。

確かに、6文字で左右のバランス感が揃っている点や、ffやeeが並ぶ部分など不思議と親しみのある印象の綴りになっていますね。先ほどバンドマンとして全国を回っていたとお聞きしましたが、服に関連するお仕事はされていたのですか?

バンドマンとして全国を回っていた当時は、並行してリサイクルショップの店員として働いていました。自分は古着や古本、古レコードといったノスタルジーのあるアイテムが大好きで、当時もそういったアイテムを扱える職場としてリサイクルショップを選びました。今にして思えば、好きなものややりたいものという軸をぶらさなかったので、自然とそういったアイテムに惹きつけられていたのかもしれません。

当初はアルバイトでしたが、そこから社員になり最終的には店長まで任せてもらいました。そこでの経験が現在の古着販売にも生かされていて、好きなものに導かれるような不思議な縁を感じますね。

Taffeeさんの「お店」

お店について詳しくお聞きしていきたいのですが、Taffeeさんは古着をメインで取り扱っているのですか?

そうですね。ヨーロッパやアメリカの古着をメインに、そういったファッションに合うキャップやカバン、アクセサリーといった古アクセサリーも扱っています。それから、Taffeeの古着のコンセプトに合いそうなメガネや帽子の中には、一部新品のアイテムも取り扱っています。

コンセプトという言葉がありましたが、Taffeeさんのお店で大事にしているコンセプトやテーマなどはありますか?

古着が並んでいるTaffeeの店内

お客様によくお伝えしているのですが、「個性的だけど着れる服」というコンセプトは大切にしています。古着は個性的なアイテムも多いですが、あまりアイテムが「強すぎる」と着こなせる人を選んでしまったり、ついつい手を伸ばすのを敬遠してしまう場面があります。古着ならではの個性は大切にしながらも、どんな人でも挑戦できる。そんな古着を提供していきたいと思っています。その一着を身にまとうことで、その日のテンションがちょっとだけ上がる、そんなアイテムを揃えるのは大切にしていますね。

それから、最近は手軽にファストファッションでおしゃれをするのが定番です。そういったおしゃれも楽しいのですが、「古着だとこういうのあるよね」「古着だから見つけられた」といった、人と違うものに出会える楽しみは古着の良さだと思っています。そんな楽しみがあるようなアイテム選びは、Taffeeが大事にしているコンセプトです。

古着をはじめアンティークなアイテムを探している瞬間は、どこか宝探しのような楽しみがありますよね。先ほどアイテムはヨーロッパやアメリカの古着がメインとお聞きしましたが、仕入れはどのようにされているのですか?

仕入れはオンラインを活用して買い付けをおこなっています。これは私の接客の好みともつながるのですが、お客さんとしゃべったり、直接顔を合わせて近況を報告し合ったりといった時間が好きで。「街に来たのでちょっと寄ってみた」「ついでに気に入ったアイテムがあるから買っていくね」そんなスタンスを大事にしています。

ただ、東京のショールームに直接足を伸ばして買い付けに行くと、どうしてもその期間はお店を閉めなければなりません。お客様と接していられる時間を少しでも長くするために、どうにかこの部分を改善できないかと考えているタイミングで、ちょうどオンラインを使って遠隔で買い付けができるサービスに出会いました。これなら、宮崎でお店を営業しながら買い付けができお客様と接する時間をもっと確保できると感じ、少しずつオンラインへシフトしていきました。営業時間外の時間を使って、動画通話やZoomのようなWeb会議ツールを使って、バイヤーと会話をしながらアイテムを買い付けています。

バイヤーは日本人の方ですか?

たくさんのキーホルダーお皿に入っている写真

親しくお付き合いさせていただいているのは日本人の方です。海外在住の方で、現地で古着を調達して日本へ展開するといった仕事を長年されています。

海外の古着の難しさにサイズの感覚があります。例えば海外のバイヤーさんの言うMサイズと、日本人がイメージするMサイズが違っているといったケースです。それから「かわいい」という感覚が、日本人のイメージと海外のイメージではズレていたりする。本来はそういったズレをなくすために直接足を運んで買い付けるのですが、オンラインを活用したい自分のスタイルではなかなかそのギャップを埋められません。そこが、現地で暮らす日本人バイヤーの方であれば、日本ならではの細かいニュアンスをわざわざ掘り下げることなく、ある程度お任せができます。その点はとても助かっています。

それから以前からお付き合いのあった東京のショールームでもオンラインでのサービスを展開するようになったので、今は「海外在住のバイヤーさん」と「東京のショールーム」の2カ所が仕入れ先になりますね。

オンラインでの仕入れはデジタル技術の発展はもちろんですが、コロナ禍の影響もあったのではないでしょうか?

そこがオンラインが増えた一つのタイミングだったのは確かです。ただ、自分がオンライン仕入れをスタートしたのが2019年からだったので、もともとサービスへの需要があり、そこにコロナ禍という特殊な環境が重なって一気にサービスの数が増えていったという流れだと思っています。

オンラインへの需要という言葉がありましたが、具体的にどのような部分ですか?

これは地方の古着屋あるあるなのですが、東京や都市部に仕入れに行ったからといって必ずしも目当ての商品に出会えるわけではありません。こちらも一度の旅程で複数の業者をピックアップして向かうのですが、どうしても業者によって得意なジャンル、不得意なジャンルがあります。「ジャケットはこの業者で取れそうだけど、スウェットがないんだよな」とか、「仕入れたいけどサイズのバリエーションがな」とか、古着のコンディションを含めなかなか一度でピタッとはまらない。これが近場の業者なら「また来週、車を走らせてこよう」となるのですが、地方ではそういうわけにもいきません。こういったジレンマや、なんども足を運ぶ手間を省きたいといった部分は、オンラインへの需要としてあったように思います。

もちろんこれはお店のスタイルに合う合わないがありますし、すべての店舗さんがオンラインへシフトしているわけではありません。オンラインを経て、コロナ禍が落ち着いたタイミングでやっぱり直接足を運ぼうという人も増えています。Taffeeの場合は、私が店舗にずっと立っていたいという部分と、オンラインのメリットがうまくマッチしたケースで、少し特殊かもしれないですね。

コンセプトの部分と少し質問が重複するのですが、商品を選ぶときに大事にしているポイントはありますか?

「個性的だけど着れる服」というコンセプトは大前提としてあります。それに加えて、ユニセックスなラインを選ぶのを大事にしています。ときどきお客様に「これメンズですか?レディースですか?」と聞かれるのですが、それがうれしい。なぜなら、それは商品の性別がはっきりしていないからで、自分が狙っているラインとマッチしている証拠だからです。

古着は一点ものやカラーバリエーションが少ないので特にそうだと思うのですが、商品を選ぶときの自由度を増やしてあげたいと思っています。最近はどんどんファッションに性別の垣根がなくなってきていて、例えば「女性だけどメンズの大きめのスウェットを着るのがかわいいよね」といった感じで、選択肢のストライクゾーンを広げてあげられたらいいなと。やっぱり楽しめるものは、増えたほうがいいですよね。

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