ハイカラ通り商店街

酒屋 ふってもはれても「その日にお店に来てくださったお客様に、“欲しかった一本”を見つけてもらえたら嬉しい」

酒屋 ふってもはれても「その日にお店に来てくださったお客様に、“欲しかった一本”を見つけてもらえたら嬉しい」

アパレルショップや美容室などさまざまなお店が立ち並ぶハイカラ通りのビルの半地下に、ユニークな酒屋さんがあります。酒類を販売するだけでなく、社会問題への関心も高い仲良しご夫婦の小野和久さんと小野伸子さんにお話を伺いました。

酒屋 ふってもはれてもさんの「はじまり」

酒屋 ふってもはれてもの店内のお酒がたくさん並んでいる様子

この場所にお店をオープンして何年くらいですか?

(伸子さん)
2年半くらいです。同じ宮崎市内の江平本店と青島にも店舗があり、もともとは本店のほうで働いていましたが、長男に事業を継承しました。ただ、まだ余力がありましたので、ちょっとやってみようかなと思い、このハイカラ通りにお店を出しました。

店名がとてもユニークですよね。

(伸子さん)
ジャズのタイトルを店名にしました。
雨が降っても晴れても、何があっても淡々と進んでいくしかない。例えば、親がなくなっても何があっても次の日は必ず来るわけですからね。

曲がどうこうというよりも、言葉の響きや、前向きな気持ちにさせてくれるタイトルがとても気に入りました。

なぜこの街中にお店を出したのですか?

(伸子さん)
本店や青島のお店は郊外にあり、駐車場もあるので車社会の宮崎では便利なのですが、来てくださるお客様も限られてしまいます。

街中ですと、飲食店にも距離が近くなりますし、飲食のお店を経営されている方にも来ていただきやすくなります。お店に来てテイスティングしていただいたり、お酒に関する詳しいお話をさせていただいたりと、もっと具体的なお話がしやすいのではないかと考えました。

うちのお店が、お酒を扱われる飲食店様にとってお酒の知識を増やせる場になればいいなと思い、飲食店が近い街中に店を構えることにしました。

私はソムリエの資格を持っているのですが、それを誰かに教えるという資格は持っていませんので、私もソムリエの知識を忘れないように、また、飲食店様のお役にも立てるように、一緒に勉強するという感じですね。

ソムリエの資格を持っていらっしゃるのですね。資格はいつくらいに取得されたのですか?

酒屋 ふってもはれてもの店内のワインが並んでいる様子

(伸子さん)
57歳のときに取ったので、10年前くらいですね。やっぱり年齢的なこともありましたし、取得するのに4年かかったんです。

資格を取る10年くらい前からコツコツ勉強はしていたんですが、本格的に勉強を始めたのが、資格取得の4、5年前からですね。

そうなのですね!なぜソムリエの資格を取ろうと思ったのですか?

(伸子さん)
酒販店なので、ビールや焼酎などさまざまなお酒を扱っていたのですが、お酒の専門店としてさらに専門性を強く出していくためには、私には他のお酒よりもワインが向いているなと思ったからです。

今のお店はもちろんですが、本店で働いているときも、ソムリエとしてお客様のワイン選びのお手伝いをさせていただいていました。

ご自身もワインを飲むのがお好きなのですか?

(伸子さん)
飲むことは好きですよ。毎日飲みますが、1日の酒量はコップ2杯分くらいです。ワインも好きですが、今はウイスキーが大好きです。

最初のころはウイスキーの独特の香りや風味があまり得意ではありませんでしたが、慣れてくるとすごくおいしいんです。ストレートで飲むのが一番おいしいですね。

酒屋 ふってもはれてもさんの「お店づくり」

お店のコンセプトはありますか?

(伸子さん)
大きなことではないのですが、いつも思うことは、今日来てくれたお客様が自分に合うお酒を見つけて持って帰っていただければいいなということ。本店で働いていたころはがむしゃらに頑張っていて、気持ちにもあまり余裕がありませんでしたが、今はある程度落ち着いた環境で商売をさせてもらっているので、気持ち的にもすごく楽なんです。

そこは主人も同じ考えでいてくれて、それがとてもありがたいです。同じ方向を向いているし、私が困っているときは必ず協力してくれます。同じような考えを持っている人じゃないとこんなに長くは続かないですよね。

お店で扱っているお酒の種類としては、やはりワインが多いのですか?

(伸子さん)
6割くらいがワインですね。他には日本酒、ウイスキー、焼酎、クラフトビールなども扱っています。

うちのお店ではビールやワインなどの量り売りもしています。飲食店の方にその品物がどんなものかを確認してもらいたいというのもあり、その場でテイスティングしてもらうこともあります。

容器は購入していただいてもいいですし、ご自身で持ってきていただいても構いません。

それから、ゴミ拾いの活動をしていて、プラスチックごみ問題にも関心があったので、ゴミを少しでも減らすために量り売りを始めたんです。

焼酎だけじゃなくて、ビールも量り売りできるのですね!

酒屋 ふってもはれてもの店内の棚にいろいろなお酒が並んでいる様子

(伸子さん)
そうなんです。このお店で販売しているお酒のほとんどは量り売りできます。

また、本みりんも量り売りしていますよ。本みりんは酒税法上で酒類に該当するため、酒屋でしか販売できません。

このみりんもそうですが、量が多くて使い切れないものを少し使いたいとき、気になるお酒をちょっと試してみたいとき、いろいろな種類のお酒を楽しみたいときに、量り売りはとても便利だと思います。

焼酎などもあまり見かけない種類がたくさんありますね。

(伸子さん)
全国的にも有名でレアなお酒はなかなか手に入らないですし、値段も高いんですよね。

うちでは、一般に流通しているものの中でも、スーパーなどではあまり見かけないけどおいしいものを厳選しています。いわゆる“レア物”とは違って値段もそこまで高くはないですし、絶対に手に入らないというものでもありませんので、普段使いでご購入いただけます。

仕入れはどのようにおこなっているのですか?

(伸子さん)
直接私が選んでいます。自分の独断で(笑)。個性的なものとかこだわって作られたものとかですね。

自分で海外に直接買い付けに行くことは無理ですし、うちの場合、直接輸入はしていないので、数十年お付き合いのある信頼できるインポーターさんとの関係を大事にして仕入れています。

特に、普段使いのお酒はそんなに高いものは飲めませんよね。日常飲むワインとして1,000~1,500円くらいで購入できるものをメインに、記念日やご褒美に飲むような贅沢ワインも数種類揃えています。

宮崎では珍しい「角打ち」をされているとお聞きしました。なぜ始めようと思ったのですか?

酒屋 ふってもはれてもの角打ちできるテーブル席

(和久さん)
仕事が終わってから街に飲みに行くまでちょっとだけ時間があるなというとき、つまみはいらないけどここで1杯引っかけて街へ繰り出すという感じで使ってもらえたらと思い、始めました。最初は気の乗らない飲み会でも、ここで1、2杯飲んだら気分良く行けるんですよ(笑)。

それから、ここでちょっと一日の疲れをリセットして、家に帰っていただく。そのまま帰りたくないこともありますよね。

ここで飲むものって、1杯200〜300円ですし、ちょっと飲んで気分を変えて帰っていただく。やっぱり飲むことで元気が出るんですよね。

うちのお客様も、最初はみんな1人で来て静かに飲んでいるんですけど、お酒を飲むと元気が出て、お客様同士で話が盛り上がるんですよ。

もちろん、酒屋としていろいろな種類のお酒を揃えていますので、試し飲みしていただきたいという意味合いもあります。

飲食店ではないので、お店で準備しているお湯や氷はセルフサービスで、おつまみもありませんので持参していただいています。

お互い知らないお客様同士で仲良くなって、次のところに一緒に流れていくこともあります。私たちがおすすめのお店を紹介したりとかね。飲み文化は大切ですよ。

さまざまなことを幅広くされているようなのですが、Instagramを拝見したところ、ゴミ拾い活動もされているのですね。

(伸子さん)
はい、これはお商売とは関係ないのですが、昨年は街中で9回、青島で3回の計12回、月1回のペースでゴミ拾い活動をしました。街中も海もゴミがたくさんあるんですよ。

もともと主催されている方がいらっしゃって、私はフォローという形で関わり、総メンバーは20人くらいいます。毎月第3日曜日の朝9時にここに集合しゴミ拾いをして、その後はお店に戻ってきて、ご飯を炊いて味噌汁を作って、みんなでごはんを食べるんです。これがとってもおいしいんですよ。

ゴミ拾いを始めたのは何がきっかけだったのですか?

(伸子さん)
環境問題に意識が高い人たちが周辺に多いこともあり、仲の良い人たちと「自分たちに何ができるかな」と話していて、歳を取って、第一の人生は一段落したから、今度からは人のために何かできることがあるんじゃないかなと。

今後も「ふってもはれても街中ゴミ拾い活動」という形で、このお店を拠点にゴミ拾いを続けていこうと思っています。

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