ハイカラ通り商店街

Redbedhead「次のステップが苦しいとわかっていてもそちらの方を選んでしまう」

Redbedheadさんのこだわり

Instagramを拝見したのですが、カットのデザインやカラーが、見た目に明るいデザインを多く感じます。お客様のオーダーなのでしょうか

9割近くがお客様のオーダーです。
ウェブサイトの髪型を見ていいなと思ったり、友達の髪型をいいとなと思って来てくれるお客様が多いので、お客様が持ってきたオーダーを少し味付けして返すとか、ここをもう少しこうした方がいいんじゃない?というアドバイスはします。ですがお客様のオーダーを0から100にひっくり返すようなことはしないです。

ブログの「桃」のお写真を拝見しました。すごく綺麗なピンクでした!

あれはお客様からの注文です。「リアルに桃」ということだったので、熟れ方など、本物の桃の写真を見て、色をコントロールしました。あれはおいしそうにできたと思いますし、お客様もすごく喜んでくれました。

そういう注文があったら、僕は「絶対そのまんまやってやろう」と思います。アニメキャラの誰と言われたら、完全にコピーするようにしています。
お客様は「それになりたい!」と思ってオーダーされるので、そこに自分のデザインや、自分の思想を入れることはしません。

髪の毛をカットしている様子

お客様は、変わった髪型や髪色を求めて来られる方が多いですか

おばあちゃんのお客様もいらっしゃいます。サラリーマンの方やドクター、看護師さんなど医療系のお客様も多いです。

ウェブサイトに掲載しているヘアスタイルは、対外的なイメージを作っています。
そもそも、お店のオープン当時そこまでSNSが発達していませんでしたが、ウェブサイトで自分のやっている活動を世界中に発信しようと思いました。
それがなかったら、宮崎県に帰って来なかったかもしれませんね。
Redbedheadのドアを開けてくれたお客様を選ぶことはありませんが、Redbedheadのイメージとしては、選んでいるのかもしれません。
お客様に「茶髪、黒髪とかなんですけど、行ってもいいですか」とよく聞かれますが、分け隔てなく施術しています。力の入れ具合は一緒です。親子3代で来てくださるお客様や、子供さんも来てくれます。

お客様は宮崎県の方が多いですか

はい。Redbedheadでブリーチしているお客様の半数以上はママさんです。独身だったお客様が、結婚してママになっても感性は変わらないので、そのままずっとRedbedheadに来てくれています。ママさん世代にもハイトーンカラーが広がりました。

若い方、子育て世代など、さまざまなお客様がいらっしゃるので、新人アシスタントは驚きますね。

楽しい瞬間はありますか

やはりお客様が褒められた時です。
お客様が外出先で知らない人に声をかけられて髪を褒められた時が1番嬉しいです。お客様も喜んでくれます。
ずっと通ってくれている方は、僕が施術したお客様だと気づくみたいで、飲食店の方やコンビニの方がなんとなくわかると言ってくれます。
知らないお客様同士、「その髪はRedbedheadでしましたか?」と声をかけることもあるそうです。

髪は芸術とは違うので、自分という印象をつけづらい中で、自分の印象をつけられるということは、素晴らしい仕事ができたと思います。

お店ではないところでお客様同士知り合うというのは、楽しい瞬間ですね!

もちろん施術も楽しいです。技術的な部分で言うと、できないことができるようになったりするのは楽しいですし、今でもどんどんうまくなろうとは思っています。その喜びがない人は美容師として多分続かないと思います。

Redbedheadの店内

お店の店舗作りや雰囲気作りなどで、気にかけているところはありますか

それこそ髪の毛はすごいデザインとか、したいことがありますが、お店を作るにあたってのコンセプトは特になかったんです。空間のデザインは作ったことがなかったので、とりあえず好きなものを集めようと思って。古いものが好きなので、そういうインテリアが多いですね。

雰囲気作りとしては、お客様と髪を育てていくという感覚は変わらないので、まず髪の修理屋さんみたいな、メンテナンスをする人みたいなイメージで、次の回、次の次の回まで見越して説明しています。

新規のお客様が来ても、お客様に髪の知識を高めてもらおうと思い、髪の説明や髪に良くない習慣など、髪のことをアドバイスするようにしています。
お客様のちょっとした習慣を見抜くだけで、髪が劇的に変わったりします。

それこそ新規の方がすごいハイトーンカラーを希望されても、髪の状態をしっかり見極めたうえで、「今日はここまでしかできません」とちゃんと説明します。

なるほど、髪の状態によっては一度でできないのですね

そうですね、希望されるデザインと全く異なる髪で帰られるお客様も大勢います。
もちろん1回でできることもありますが、特に新規の方には、それをきちんと説明して納得してもらって、次に繋げます。

病院ではないので、説明して次はいつ来てくださいと言うことはできませんが、僕の説明に納得していただいて、通ってくれたら100%クオリティーをあげていくという絶対の自信があります。

長くやればやるほど、まめに通ってくれているお客様の髪が本当にきれいなんです。
常にいい状態で、それは結果として出ています。

ということは、「希望の髪にできません」と帰られる方もいらっしゃいますか。

いますね。
でも、できる限りの範囲のことはします。第2、第3のアイデアを出して、「これは今日は無理だけどここまでならできます」とか、「最終的にこれに繋ぐために今日はこっちをしないといけないんです」という説明をして、理解していただきます。多くの方には、帰るというよりはできる範囲内でお願いされます。

最初からそういうことをされようと思っていましたか

結果的にそうなったというだけですね。
一見さんばかり来るような大きい美容室にいたり、派遣の美容師だったら、そういう感覚は持てなかったと思います。
小規模だからこそできる仕事をやっていたら、そうなっていました。
単純に、来てくれてるお客様の髪をきれいにしようとか、その先お客様が自分で自分の髪を痛めないようにとアドバイスをしていたら、治療をしたり経過を見たりしている歯医者みたいだなと思い始めました。一生懸命やっていることをずっと続けていたら、日常がそうなったという感じです。

商売的にはどうなのかと思いますが、お客様が美容室に来る回数をできるだけ減らせるように考えています。
特にハイトーンカラーは1回4時間から4時間半程度の時間がかかります。例えば子育てをしているお母さんが、毎月4時間も時間を取るのは厳しいと思います。なので、Redbedheadを出る時だけではなく、1ヶ月後でも、2ヶ月後でも髪をきれいに保てるように施術しています。

365日中360日ぐらいはお客様が自分でセットして自分で外を歩くわけです。
毎朝僕がスタイリングできればいいのですが、そこをできるだけいい状態で歩いてもらえると、僕の新規の集客にもなると思っています。
例えば、お客様が3、4ヶ月に1回しか美容室に来られないとして、2週間で劣化して残りの10週間くらいズタズタより3、4ヶ月後の来る直前までいい状態を保って、メンテナンス的に来るという方がお客様も幸せだと思うのです。

1日にどれくらいお客様を施術するのですか

僕1人だと平均5人から10人くらいです。

休憩時間はないですね。年末が一番忙しくて、1月はお客様が少なくなります。
1月は予約が埋まらない時間もありますが、基本は朝10時から閉店の20時まで、施術の手は止まらないです。

RedbedheadとThe Vaseを行ったり来たりしながらされてるのですか

そうです。Redbedheadで1人施術して、The Vaseで1人施術します。カットやカラーなど、僕じゃないといけない施術は僕がして、シャンプーやドライヤーをアシスタントにしてもらっています。オペ室が2つあって、2つを行き来してる状態です。そのために僕の専属アシスタントを1人つけています。

美容室としては、20時というのは遅い時間だと思うのですが

もともと11時〜21時でやっていたので、これでも早めました。新型コロナ感染症の流行前は、仕事終わりに来てくれるお客様も多かったです。男性のお客様は土曜日、日曜日でないと髪を切りに行けなかったのが、平日の夕方に髪を切りに行けて、週末がフリーになると喜ばれていました。

Redbedhead店内鹿の骨のオブジェ

行ったり来たりしながらの施術で、苦労するなと思うことはありますか

目が届かないことはないと思っていますが、やはり行ったり来たりすることで細かいところを見逃しているかもしれない、と思うことです。
本当は1から10まで自分で施術をしたい思いがあります。

でも全て1人で行うとになるとお客様の予約が取りづらくなってしまうという理由で、アシスタントと作業を分担する今のスタイルに落ち着いているので、苦労というよりは、やりたいことができないということですね。

かと言って、全て自分がやった方が絶対ベストだと思っているわけでもなく、アシスタントの方がいい場合もあると思います。僕自身の納得という意味では、やはりお客様とマンツーマンでやった方が自分の中の落としどころがわかるので、そこがちょっと歯がゆいという感じですね。

人と働くのが嫌で1人で始めたお店ですが、結果、人と働くことを選んでいますね。

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